Badalone | 花巻

岩手グルメ | Badalone (花巻)

先週末(11月18日、19日)は企画展『異界と境の神』を見に岩手・遠野市立博物館へ行った。
この博物館は日本初の民俗専門の博物館だそうで、中々面白い企画展を開催しているため前々から気になっていた。私は最近結界だとか境界だとかに興味を持っており、Xで見かけたこの企画展の事を知りどうしても見たくなったのである。
久しぶりの出店絡みではない、純粋な遠出となった今回の旅。日帰りでも良かったが、片道6時間の運転は流石に疲れるので途中で一泊することにした。その際に立ち寄ったレストランが良かったので記録しておく。

花巻では夜ご飯にBadalone (バダローネ)というイタリアンを予約。お店のウェブサイトで空席状況と予約が行えるので便利である。
こちらは東京にてそれぞれ別のお店で修行をされたご夫婦が切り盛りする、おまかせコースオンリーのレストラン。地元・花巻を中心に、岩手の食材に焦点を当てて提供しているとのこと。私が訪れた夜は他に予約客もおらず、おひとりさまですみません…となった。以前は一組限定の運営のため2名以上じゃないと予約ができなかったそうだが、おひとりさま利用のリクエストが多かったためカウンターを作り予約可能にしたそうだ。

食前酒としてはスパークリングワイン、地ビール、シードル、他にもソフトドリンク等々、選択肢が豊富であった。ここでは地元花巻で自家栽培林檎を使って作られたシードル(もんのすけ農園)をいただく。さっぱり癖のない飲み口。

前菜(この日は三陸で水揚げされた水タコと蕪)が来たらシードル飲み終わってないけどワインを飲もう!ということで注文。ソムリエ資格を持つマダムが出して下さったのは2種類の白ワイン。

Badalone | 花巻
花巻産の葡萄で作るワイン

こちらは花巻にあるワイナリー高橋葡萄園の白ワイン。どちらもすっきり飲みやすかった。左右端にあるボトルはそれぞれの葡萄で作ったジュース。ワイン用の葡萄は酸っぱいものが多いそうだが、これはどちらも上品な甘さで非常に美味であった。バダローネでもジュースボトルを販売していて買って帰ろうと思っていたが、色々飲み進めてほろ酔いで退店する頃にはすっかり忘れてしまい非常に後悔している。

Badalone | 花巻
岩手産の白ワインと牡蛎入りパスタ

もう一種類の岩手産ワインはパスタの奥に写る白ワイン。三陸の牡蛎が入った手打ちパスタに合わせて出してもらったこちらは神田葡萄園という陸前高田市にあるワイナリーのもの。陸前高田といえば東日本大震災の津波被害を受けた地域だが、こちらのワイナリーにも津波が押し寄せたという。それでも再度葡萄・ワイン作りを再開してこうして美味しいワインをいただくことができているという事にはぐっとくるものがある。ちなみに実は私は牡蛎があまり得意ではないのだが、こちらの牡蛎はとてもミルキーで非常に美味しかったし、同じ三陸エリアのワインは言うまでもなくぴったりであった。

最後のメインディッシュは山地酪農という考え・方法で育てられた牛肉のステーキであった。こちらの牛は元乳牛であるという。マダム曰く、役目を終えた乳牛が肉牛として出荷される場合は通常出荷前に肉を柔らかくするために穀物等の飼料に変えるそうなのだが、そういう事はせずに自然のまま、山地に生えている牧草だけを食べた牛なのだという。その為、肉牛や飼料を変えた元乳牛に比べたら硬めの歯ごたえではあるが、それがまたお肉をいただいているという実感を得られるので良いと感じた。このような事も事前知識がなく提供されたら「ただの硬いお肉」で終わってしまうが、どのような哲学をもとに牛を育てているのかを知るだけで食べる側の感じ方も変わる…という話にとても共感した。

Badalone | 花巻
歯ごたえしっかりのビーフ
Badalone | 花巻
山地酪農
Badalone | 花巻
おつまみで頼んだポテチ

以上、写真で紹介したものの他に、前菜二皿(タコのカルパッチョ、白身魚)、地元で採れるコウタケという茸のリゾットや豚バラのお皿とデザートが提供された。これにプラスして私はアラカルトで自家製ポテチを注文。バダローネはコースオンリーのお店ではあるが、もう少し食べたい人の為にアラカルトでパスタや簡単なおつまみが用意されている。

ちなみにワインは地元産だけでなく、海外産の面白いワインも豊富のようた。

Badalone | 花巻
オレンジワイン飲み比べ

こちらはジョージアとイタリアのオレンジワイン。こちらでは飲み比べよろしく同時に数種類出してもらえるので楽しい。ワインに詳しくなくても、ワイン(だけでなく日本酒や食材)への熱意溢れるマダムが色々と提案してくれるので安心である。

そんなこんなで楽しめた一泊二日岩手の旅。北東北へ行く際にはまた必ず立ち寄りたいと思えるお店に出会えたのが最大の収穫であった。

Badalone バダローネ
https://badalone.jp/